岸田政権が退陣することとなり、内閣の業績を振り返る記事が載っています。それを読んでも、NISA制度を使い勝手のよいものに作り替えたことは評価されています。今後も資産運用の基盤として利用していきましょう(2024.8.15)
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資産運用立国は道半ば
「政治」というのは生々しくて、何が原因で支持率が低迷しただとか、いろいろ話題になります。でも、「政治」が「歴史」になる過程で、さまざまな夾雑物は削ぎ落されて、内閣の業績を一行で表現されるようになります。
たとえば、竹下登内閣だったら、リクルート問題で内閣は退陣に追い込まれましたが、内閣の業績を一行で記せば「消費税を導入した内閣」で定着するでしょう。
もっと過去にさかのぼれば、池田隼人内閣なら「所得倍増計画」でしょうし、佐藤栄作内閣なら「沖縄返還」でしょう。
岸田内閣が掲げたのは「資産運用立国」でしたが、これはどう考えても道半ば。日本経済新聞の8月15日付朝刊でも「首相が掲げる『デフレからの完全の脱却』では、賃金と物価の好循環をもたらす持続的な賃上げの実現はなお道半ばだ。生産性の向上につながる成長戦略は不十分だったのは否めない」(社説)と指摘しています。妥当な評価でしょう。
新NISAへの評価は高い
でも、こと新NISAとなると、日経の社説はこんな記述です。
企業の成長と家計の資産所得増加の循環を狙って、新しい少額投資非課税制度(NISA)の導入などを推し進めた点は市場からも評価されている。
一般記事でも同様の評価です。
岸田首相は歴代政権のなかで株式市場の評価が相対的に高い。日経平均株価は34年ぶりに最高値を更新した。首相就任時から現時点までの上昇率は28%。データの取れる鳩山一郎政権からを対象に歴代首相の在任期間中の日経平均の上昇率をランキングすると、岸田政権は7位につける。
賃上げを後押しする施策が脱デフレ期待を高めたほか、少額投資非課税制度(NISA)の拡充を通じて「『貯蓄から投資へ』の流れを加速させた」(ピクテ・ジャパンの糸島孝俊氏)ことが評価された。
2面「経済・外交なお途上」
個人投資家の拡大に寄与したのが1月に始まった新NISAだ。株式の配当などで得た収入を非課税とする期間を最長20年から無期限に変更した。制度自体も恒久化し、非課税で保有できる生涯投資枠も従来の2倍以上に広げた。
ネット証券の首脳は「個人の資産形成を後押しする政府の方針が鮮明になったし、若者を中心に将来を見据えて運用する機運が一気に高まった」と評価する。
4面「資産運用立国道半ば」
総理大臣が変わっても、これだけ評価の高い新NISAを見直すことはあり得ないでしょう。だとすると、岸田政権が「歴史」になる時、内閣の業績はきっと「新NISAの導入」になるのではないでしょうか。
だいぶ盛り返してきたが…
そんな新NISAですが、ここ数日の株価上昇で、先週の乱高下からすこし落ち着きを取り戻しています。
それでも株価の上下動は、今後も避けて通れません。先週のブラックマンデー越えの急落(8月5日)は極端だとしても、「これからも下げることはあるのだ」ということを肝に銘じて、かつ、新NISAは長期運用を前提にした制度であることもきちんと理解して、資産運用の基盤としてこれからもしっかり使っていけばよいのでしょう。
きょう時点の新NISAはこういう数字です。 含み益は73万6244円です(+24.21%)

ブラックマンデー越えの急落時(8月5日)は下記の画像です。

含み益は19万4157円(+6.38%)ですから、この10日間でだいぶ盛り返したのは間違いありませんが、日経株価が4万円に近付いた時は含み益が100万円の大台に乗ったので、まだ完全に復調したとも言えません。
とはいえ、含み益の上下動は「一喜一憂しない」が鉄則です。つみたて投資枠なら全世界株や米国株に連動するインデックス型投資信託をコツコツと積み立てていけばいいですし、成長投資枠なら高利回りで企業の成長性も期待できる銘柄を中心に購入していけばよいでしょう。少なくとも、わたしはこれからもそうします。
(いしばしわたる)
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