市場が動揺している時こそ基本に立ち返ろう

市場が動揺している時こそ基本に立ち返ろう

日経平均株価は空前の乱高下です。5日に1987年のブラックマンデー越えの暴落が起きたかと思えば、翌6日は史上最大の上げ幅。市場が動揺している時こそ、基本に立ち返りたいと思います(2024.8.7)

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生活防衛資金を確保しよう

わたしが投資を始めたのは2018年ですので、かれこれ6年たちます。証券口座を開設したり、旧NISAでドキドキしながら国内株の注文をしたり……。性格が臆病ですから、いろいろな本を先に読んで勉強してから始めましたし、折に触れて本を読んで自身の投資法が正しいかどうかチェックする癖がついています。 

そんな本から、いまのような乱高下の時に役立つヒントを紹介しましょう。 

ユーチューブで活躍する「両@リベ大学長」のベストセラー「お金の大学」(朝日新聞出版、2020年刊行)は、資産運用・準備編でいちばん最初に訴えているのは「生活防衛資金を確保しよう」です。 

生活防衛資金。その名の通り、まさに生活を防衛するための資金や。リストラされた時、病気で働けなくなって収入が途絶えた時などに、生活を維持するための命綱やな。

  • 投資用のお金 
  • 生活防衛資金 

この2つは、絶対に混ぜたらアカンで! 

生活防衛資金が貯まる前に投資をスタートするのは、おすすめせんで。まず、生活防衛資金を貯める。それから、無理のない範囲、少額で投資を始める。これが王道や。 

「早く投資しなきゃ!」と焦らなくても、固定費(特に保険、家、車)を見直す→生活防衛資金を貯める→投資に回すお金を増やす、という順番の方が、結果的に効率よく資産を増やせるで。 

「生活防衛資金を貯める」の前に「固定費を見直す」がある点に着目してください。どんなに高収入の人でも、収入を上回る支出のある人なら、投資に回せるお金は貯まりません。つまり、支出コントロールが一丁目一番地ということです。 

「収入-支出」の最大化 

30歳でFIREを実現させた穂高唯希氏も、「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」(実務教育出版、2020年刊)で、支出コントロールの大切さを強く訴えています。 

何事においても「基礎を徹底すること」が極めて重要だと私は思っています。受験勉強も基礎の理解なしに類題や応用問題は解けませんし、中国語もピンイン・発音・声調という基礎を徹底しないと、語彙を増やしたところで似たような発音が多いため相手にされません。 

資産形成をする際に重要な核心的要素は、次の2つに集約されます。 

  1. 「収入-支出」の最大化 
  2. 運用利回りの最大化 

このうち、資産を形成する際に徹底すべき基礎とは、「収入-支出」の最大化です。私が20代で資本を蓄積する際に一貫して腐心してきたことは、この「収入-支出」の最大化という基礎の徹底に尽きます。 

資産形成において、運用利回りを上げるに越したことはありません。しかし運用利回りを上げるには、自分でコントロールできない領域があります。なぜなら、相場という外部環境や、銘柄に対する目利き力や企業分析など、当人の力量に強く影響を受けるからです。つまり、運用利回りを上げることに再現性を期待するのは難しいのです。 

対して、節約や支出削減という「支出の最適化」は自分が主体的にコントロールできる領域であり、再現性を見いだすことができます。そのため、節約という自身がストレスにならない無理のない範囲で実現すれば、確実に効果が生まれますし、資産形成に寄与します。 

こんな空前の乱高下の時になんて悠長な!と怒られるかもしれませんが、わたしはやっぱり支出コントロールや生活防衛資金をきちんと投資用資金と峻別していることが大事だと思うのです。 

自分の暮らしに微塵も影響を与えないことを担保したうえで、余裕資金の中で投資にお金を回すなら、仮に株価が暴落しても、狼狽売りするような事態は回避しやすくなるでしょう。 

自分自身のリスク許容度を知る

生活防衛資金と峻別してはじめてできた「投資用のお金」の使い方ですが、ここにも基本があります。自分自身のリスク許容度を知ることです。 

ご夫婦で資産運用の著書を多数出している頼藤太希氏と高山一恵氏の共著「1日1分読むだけで身につくお金大全100」(自由国民社、2022年)はこう書きます。 

投資の世界の「リスク」には、「危険性」ではなく、「投資の結果(リターン)のブレ幅」という意味があります。平たくいうと、お金が増えたり減ったりする可能性のことです。
(略)
金融商品には、それぞれリスクがあります。そして、金融商品によってリスクの大きさが異なります。一般的に、リスクとリターンはトレードオフの関係にあります。

金融商品を選び、資産配分を決めるときには、自分のリスク許容度を知ることが大切です。リスク許容度とは、どのくらいまで損しても大丈夫かをはかる指標のようなものです。 

金融商品を選び、資産配分を決めるときには、自分のリスク許容度を知ることが大切です。 

この図をみてもわかるとおり、株式は本来ボラリティ―(価格変動率)の大きい金融商品です(5日と6日の値動きは異常としか形容しようがありませんが) 

投資信託でも、いちばん人気が高い「オルカン」や「S&P500」といったインデックス型投資信託も、株式だけで構成されていますから、債券なども組み合わせたバランス型の投資信託に較べればボラリティ―は高くなります。 

それでも、経済は長期的には成長するので、長期に保有すればリターンが大きくなる可能性が高いために人気なのであって、短期的にへこんで「損をした」「だまされた」というのは、そもそも商品そのものへの無理解がありますし、何より自分自身のリスク許容度を見誤っている可能性が高いと言えます。 

訴えている基本はみんな同じ

わたしが投資をはじめた2018年当時、最初に手に取った本のひとつが水瀬ケンイチ氏の「お金は寝かせて増やしなさい」(フォレスト出版、2017年刊)です。

最近改訂版が出版されて買い直したのですが、同書にもこんなくだりが出てきます。 

インデックス投資を始める前に最低限しなくてはいけないこと
それでは、私が実践しているインデックス投資のやり方をお伝えしたいと思います。
……と言いたいところですが、投資を始める前にやっておきたいことがあります。
それは……家計の状態を把握することです。

なにが起きても自分と家族を守るお金「生活防衛資金」
「生活防衛資金」とは、いかついネーミングですが、これは2000年に投資自体を始めた頃に読んだ本『投資戦略の発想法ーーゆっくり確実に金持ちになろう』(本村剛著)で述べられていた考え方です。
「世の中でなにが起きようが、会社が倒産しようが、クビになろうが、絶対に自分と家族の生活を守るという一点をベースにして、投資戦略を考えるべきなのです」という考え方に強く賛同するとともに、「職を失うというリスクに対しては、最低2年はみておきたい」という目安は妥当だと考えたため、自分の投資戦略として採用したものです。

100年に一度の金融危機のなかでもぐっすり眠ることができた理由
私が実際に資産運用をしていて実感したことなのですが、生活防衛資金は、私たちの生活を守ってくれるだけでなく、心の安定も守ってくれるという副次的効果があることです。
実際、2008年のリーマン・ショックに端を発した「100年に1度」と言われる世界金融危機のときでさえ、市場の阿鼻叫喚のなかで私がなに食わぬ顔で夜ぐっすり眠れたのは、たっぷりと確保してあった生活防衛資金のおかげだと本当に思います。

このあと「自分のリスク許容度を知る方法」と続くのですが、頼藤・高山本と重複するので引用はここでとどめましょう。 

市場が乱高下している時こそ、冷静になって基本に立ち返ってみてはどうでしょう。 

紹介した本はどれも良書です。ぜひ手にとってみてください。 

(いしばしわたる) 

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