”ニセ桐谷さん”のSNS投資詐欺の手口を公開しています

”ニセ桐谷さん”のSNS投資詐欺の手口を公開しています

楽天マガジンで配信された「ダイヤモンド・ザイ」の最新号に、株主優待で有名な元棋士の桐谷広人さんのニセ広告に騙された手口が詳細に載っています。ザイの読者はこれで”ニセ桐谷さん”にひっかかることはなくなるでしょうが、記事を読んだ感想は「他人事と思わないほうがいいな」というものです(2024.7.22) 

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詐欺の手口を詳細に明かす

ダイヤモンド・ザイの記事は「300万円奪われた男性が悲痛告白 「ニセ桐谷さん詐欺」に気をつけて!」という見出しです。 

ダイヤモンド・ザイ24年9月号。表紙に桐谷さんが2か所も!

ザイ編集部に、「桐谷さんのニセモノにだまされた」という悲痛な連絡が届いたのは6月下旬のことだった。70代後半のAさんは投資歴40年。なぜだまされてしまったのか。 

以下、具体的な手口が画像入りで事細かに説明されているのですが、見出しと概要だけ抜き出すと 

1 ニセ桐谷さんからメッセージが!
桐谷さんのファンだったAさんは、LINEアプリで検索し桐谷さんを名乗るアカウントを発見。「友だち」になった

2 美人アシスタントを紹介される
(桐谷さんとアシスタントの)ツーショット写真はブロガーの写真を盗用し、顔だけ差替えた合成社員。もちろん著者のサインも偽造されたもの。

3 安心感を抱かせるほかの会員の発言
「知恵の交換所」なるグループでニセ桐谷さんの講義や投資指南がスタート。”サクラ”とみられる会員からの成功報告も。

4 架空の証券会社への入金指示が!
証券会社の口座開設と入金を指示される。個人名義の口座に疑問を抱いたが、もっともらしい説明を信じてしまい……。

「今度は香港株への投資が推奨され、会員たちから『大きな利益を上げた』という報告が多数投稿されるようになりました。私もアシスタントから、香港株の取引のために『MMHK証券』に口座を作るよう指示されました。 

一つ目の証券会社とよく似たロゴだったが、これは無断で盗用されたもの。まったく架空の企業だ。ただ、ホームページも作り込まれており、信用したAさんは300万円を入金してしまう。 

5 入金後、すぐに出金不可能に!
入金翌日、不安を感じ証券会社のカスタマーサポートに出金を指示。2~3日で返金するとの返事だったが振込みはなかった。

6 さらに100万円の「保証金」要求も!
口座残高がゼロに。証券会社側は「ハッカー集団に乗っ取られた!」と言い張り、保証金としてさらに100万円を要求。アシスタントからも催促が。

「返金のためにさらに100万円が必要と言われ、詐欺だと確信しました」 

著名人騙る詐欺は有名なのに

有名人を騙るSNS投資詐欺は、Aさんが最初に”ニセ桐谷さん”のアカウントを検索した今年3月時点で、かなり大きなニュースになっています。実業家の前澤友作氏がメタに公開抗議を行ったのも今年3月のことでした。 

Aさんも著名人を騙るSNS投資詐欺のことは十分承知していたはずです。にもかかわらず、詐欺被害にあってしまったのはなぜでしょうか。 

読売調査でLINE誘導がが99.8%

折しも、読売新聞もSNSを使った詐欺について調査した記事を7月22日付朝刊の一面に掲載しています。記事は読売新聞オンラインでも公開されています。 

読売新聞と東京大の澁谷遊野准教授(社会情報学)は、メタのSNSで4月20日までの1か月間に、日本向けに掲載された著名人のなりすましとみられる投資関連広告を分析。読売新聞の取材などで「メタに正規広告は出していない」と答えた著名人26人の名前や肖像が含まれたケースを対象に、掲載時の勧誘内容が詳細に確認できる1570件を調べた。 

その結果、99・8%にあたる1567件の広告がLINEに誘導するURLを表示していたり、「LINE友だち追加」などの言葉を使っていたりした。 

LINEのグループトークなど、外部からやり取りを確認できない「クローズドチャット」は、「通信の秘密は侵してはならない」とする憲法の規定から、プラットフォーム(PF)事業者も原則、監視できない。そのため詐欺グループに悪用されているとみられる。 

読売新聞オンライン「著名人なりすまし偽広告の99%がLINEに誘導…メタのSNS掲載、詐欺被害相次ぐ」 

閉鎖チャットで「洗脳」されていく

社会面掲載のサイド記事を読むと、被害にあった60歳代女性は、閉鎖チャットでのやりとりは「洗脳されていく感覚だった」と話しています。 

参加者が次々と〈入金した〉と報告する中で、勧められるままに計約350万円を入金した。「みんながやっているからと、あおられるような気持ちになっていった」と話す。 

著名人になりすましたSNS投資詐欺が蔓延していることはみな知っていて、「自分はそんなものに引っ掛からない」と思っていて、どこか他人事と思っているのではないでしょうか。でも、行動経済学の悪用に熟知した犯罪者たちにかかると、みなコロリと信じてしまう……ということのように思います。 

自分は大丈夫だ、なんて変に自信は持たないことだな…

と自らを戒めた次第です。 

ザイの記事に戻ります。「桐谷さん「ホントの情報」はこれだ!」という囲み記事が載っていて、秘書やアシスタントは存在しないことや、Xの正式なアカウントなどが掲載されています。 

桐谷さんがよく登場するザイらしい配慮です。桐谷さんのファンもこれを読めば、安易にSNSで検索したりして”ニセ桐谷さん”とSNSで繋がるようなことは避けることができるはずです。自らの恥をさらして詐欺被害を明かしたAさんと警鐘記事にまとめたザイ編集部に感謝です。 

(いしばしわたる) 

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