積立投資信託をクレジットカードで行える上限が月額5万円から10万円に拡大した「クレカ積立」ですが、SBI証券の対応が「改悪」と話題になっています。カードのグレードが高い人ほど影響が大きそうです(2024.3.29)
〈PR〉


後出しジャンケンだったが…
クレカ積立については、楽天証券をはじめ各社が早々にポイント還元率を公表したのに対して、SBI証券は最初のプレスリリース(3月8日)で「決定次第、速やかにご案内します」と記すのみで、いわば”後出しジャンケン”となっていました。
それだけにSBI証券ユーザーは今か今かと待っていたわけですが、3月22日に発表した内容は、確かに「改悪」と言えるものでした。わたしも以前の記事でこう書きました。
ちょっと驚いたのは11月積立分以降の扱いです。
大事なことは小さい字で書いてあります。「年間カード利用額に投信積立分は含まれない」とあるので、年間10万円以上使わなければ、クレカ積立のVポイント付与はゼロということになります。
クレカ積立「+α」で究極のポイ活に励もう(3月25日更新)う~ん、これって微妙に改悪だよな…
ただ、わたしは、いちばんグレードの低い「三井住友カード( NL )Olive フレキシブルペイ」(年会費無料)の利用者なので、
年間カードの利用額が10万円ということは、月8340円以上使えばよい計算です。4月からのTポイントとの統合で、街中でのVISAタッチ決済の機会は増えるだろうと思えば、何とか届くバーだと思うので、ちょっと癪ではありますが、街中では意識的にVISAタッチ決済を使おうと思います。
クレカ積立「+α」で究極のポイ活に励もう(3月25日更新)
という割り切り方をしたのですが、世間の評価はもっと厳しいみたいです。
「大改悪」「まさかの改悪」
たとえば、ITmediaビジネスが29日配信した「三井住友カードのクレカ投信積立で“大改悪” 5大ポイント経済圏の最新動向」(筆者は斎藤健二氏)は、見出しにも「大改悪」と表現しています。
中でも高還元で目を引いたのがSBI証券だ。22年12月、SBI証券は三井住友カードと組み、三井住友プラチナプリファードカードにおいて5%をVポイントで還元し始めたのだ。
三井住友カードのクレカ投信積立で“大改悪” 5大ポイント経済圏の最新動向
そもそもプラチナプリファードは年会費3万3000円というハイクラスカードだ。ところが月間5万円、年間60万円のクレカ積立を行うと、その5%は3万円にもなる。「実質3000円でプラチナプリファードが使える!」という口コミもネットで広まり、これまでプラチナカードに関心がなかった層まで新規に加入した。
と、今までの経緯を振り返ったうえで、
具体的には、ベースの還元率を1%に大きく下げた上で、年間カード利用額が300万円以上なら+1%、500万円以上なら+2%するというもの。500万円以上カードを利用する人なら3%還元になるので、年間で3万6000ポイントが還元される。これまでは3万ポイントだったので、ここだけ見れば改善だ。ただカードで500万円の買い物をする人がどれだけいるだろう。
三井住友カードのクレカ投信積立で“大改悪” 5大ポイント経済圏の最新動向
要するに、そもそも年会費3万3000円もするハイエンドカードだったプラチナプリファードだが、クレカ積立5%施策の結果、カードショッピングをあまり利用しない層も保有するようになった。これがよかったのか悪かったのかは分からないが、三井住友カードとしては方針を転換し、カードをたくさん使う人のためのカードに位置付け直したということだ。
と指摘しています。
「マネーの達人」でも、28日に配信された「【SBI証券】クレカ積立10万円引き上げの対応でまさかのポイント還元率が改悪 楽天証券との比較」(筆者は太田玲世さん)が「まさかの改悪」と指摘しています。
三井住友カードプラチナプリファードはMAXの還元率3%にするために、年間利用500万円利用となると、中々厳しいものがあります。
【SBI証券】クレカ積立10万円引き上げの対応でまさかのポイント還元率が改悪 楽天証券との比較
月の利用額が約42万円となり、プラス年会費も3万円発生するので、積立投資とは相性の悪いクレカとなってしまいました。
どちらの記事も、「三井住友プラチナプリファードカード」の改悪を特に問題視しています。
高還元に惹かれた加入者は悲惨
そもそも、年会費が3万3000円もするクレカを持ちたいと発想する人は、クレカ積立のようなポイ活にあくせくしてないハイグレード層のような気がします。
でも、ITmediaビジネスの記事によれば、
「実質3000円でプラチナプリファードが使える!」という口コミもネットで広まり、これまでプラチナカードに関心がなかった層まで新規に加入した。
とあるので、ポイント高還元率に惹かれてプラチナプリファードを申し込んだ人が一定程度いるなら、その人たちにとっては「大改悪」としか言いようがないでしょう。
楽天は年会費を返金したが…
そこで思い出すのは、昨年暮れの楽天プラチナカードの改悪と、その際の楽天の対応です。
楽天プラチナカード(年会費1万1000円)の楽天SPU(スーパーポイントアッププログラム)が引き下げられて、楽天経済圏の住人たちは一様に衝撃を受け、(わたしを含めて)多くの住人がプレミアムカードの解約を選択したと思われますが、その際、楽天は年会費の返金対応を行いました。
楽天は専用のページで
- 年会費の返金申し込み受け付け
- 楽天ゴールドカードへのダウングレード
- 楽天カードへのダウングレード
- 楽天プレミアムカードの解約
などが申し込めるようにしています。
さよなら、楽天プレミアムカード
(略)
このあたりは明朗で親切ですね(別のクレカ解約では、電話でしか対応しないものもありましたから)
不利益変更だから当然と思う人もいるでしょうが、実際に年会費の返金を申し込んだひとりとして、わたしは楽天の対応はとても適切だったと思っています。
SBI証券も、三井住友カードも、このような対応をする予定はなさそうです(少なくとも両者のホームページをみても、どこにも案内はありません)
とすると、ポイント高還元率に引き寄せられてプラチナプリファードを申し込んだ人で、「年間500万円も買い物しないよ!」という人は、カードを解約しても3万3000円の年会費は返ってこない…ということになりそうです。
そもそも、どこに文句をぶつけたらいいかもわかりません。SBI証券に言えば「三井住友カードに言ってください」と返答するでしょうし、三井住友カードに言えば「積立投資信託に関することなのでSBI証券に言ってください」と返答するであろうことが、容易に想像できてしまいます。
ITmediaビジネスの記事がこう書いています。
4月にVポイントがTポイントと統合し、新たな船出をするタイミングで、今回の三井住友カード×SBI証券クレカ積立改悪はちょっと味噌を付けてしまったともいえそうだ。
確かに「味噌を付けた」という表現がピッタリです。両者の今後の連携にも、微妙に影を落としそうな気がするのはわたしだけでしょうか。
(いしばしわたる)
〈PR〉

