キャッシュレス決済の普及でスマホへの日常生活の依存度は格段に増しました。それだけにスマホがつながらない事態が起きると深刻です。自分が契約している携帯キャリア以外の回線も使える「副回線サービス」が始まりましたが、これをお安く利用できる方法を紹介します(2024.2.12)
【追記】「#ギガ活」 の au PAY支払いでの特典提供が6月末で終了することになりました。この改悪についてはこちらをごらんください(2024.5.25)
なぜ副回線が必要か
まず、副回線サービスについて説明します。
きっかけは、2022年7月に発生したKDDIの長時間通信障害でした。通信障害は2日未明から5日午後まで続き、電車・バスなど交通各社や宅配業者等のシステムにも支障が拡大。総務大臣が「法令上の重大事故にあたる」と臨時会見で言及したほどのトラブルでした。
通信障害が起こると、通話やネットはもちろん、楽天ペイ、au PAYといったバーコード決済もできなくなります。

買い物で支払おうとしたら決済できない。財布は家に置いてきちゃった、どうしよう……
というトラブルが起こることになるわけです。
【追記】 PayPayは、通信障害時でも買い物ができる「オフライン支払いモード」を2023年7月から提供していました。「オフライン支払いモード」では1回の決済は最大5000円で1日2回まで、ストアスキャン方式(利用者のスマホに表示されたコードを店が読み取る方式)のみ利用可能などの制限があるそうです。この部分で記事を一部修正しました(2024.2.12)
KDDIの大規模通信障害を受けて、通信キャリア3社が始めたのが「副回線」サービスーー普段使っているスマホの回線がつながらなくなった場合に備えて、他の通信会社の回線を契約しておくというサービスです。
例えばKDDIのユーザがKDDI障害時にドコモやソフトバンクの回線を使えればトラブルを回避できます。最近のスマホは1台で2つのSIMを利用できる機種が多く、簡単に回線を切り替えることができるようになっています。
ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクは副回線サービスを提供しています(楽天モバイルはauの副回線が追加料金なしで利用できます)
条件は3社とも同じで以下の通りです。
- 契約事務手数料:3,850円
- 月額料金:429円(税別390円)
- データ容量:500MB
- 通話料金:22円/30秒
- 通信速度:最大300KBps(超過時最大128Kbps)
ドコモとソフトバンクの副回線はau、auの副回線はソフトバンクです。
ここで注目したいのは、通信速度です。最大300Kbpsというのは、LINEやメールなどはできますが、動画の閲覧や大量の写真のやりとりは厳しいという速度です。副回線サービスは、もしもの時に備えて最低限の通信ができるように毎月429円を支払うサービスと言えます。
それでも、きっとこう思う人が多いのではないでしょうか。

そうはいっても、大規模通信障害って、めったに起こらないんでしょ?
めったに起こらないものに毎月400円以上払い続けるのはもったいない……
筆者もそう思います。そこで伝授したいと思ったのが、副回線サービスを利用しながら、かつ、ふだんのスマホ料金も安く抑える方法です。
それは、KDDIの「povo2.0」というサービスです。
KDDIの「povo2.0」とは
povo2.0は月額料金が0円で、必要に応じて通信データ量や音声通話のトッピングを購入するプランです。契約事務手数料は0円ですが、手続きはオンラインのみです。
トッピングというのは他社にはない概念なので、わかりにくいのですが、povo2.0のベースサービスは、通話(22円/30秒)と最大128kbpsのデータ通信です。128kbpsはさきほどの副回線サービスよりさらに遅くて、テキストのやりとり程度です。そのベースサービスにトッピングを購入すると、通信速度はメイン回線と同程度になり、購入したデータ量になるまで使えるようになります。
半年で330円払うだけ
povo2.0を副回線として契約して、トラブルがあった場合に「24時間データ使い放題」(税込330円)や「データ追加1GB(7日間)」(税込390円)を購入すればいいので(購入しなくても通話と最低限の通信はできます)、トラブルがなければ月額料金はかかりません(ただし、auユーザは副回線とはなりません。同じKDDIの回線を使ったサービスなので障害対策にならないからです)
月額料金はかかりませんが、継続して使用するためには条件があり、180日の間、有料トッピングの購入か従量通話料とSMS送信料の合計額が660円(税込)を超えていないと利用停止・解約となります。
ただ、一番安いトッピングは330円ですので、半年330円で副回線を維持できることになります。年換算するとキャリアの副回線サービスは5,148円、povo2.0は660円です。
私は、ドコモとpovo2.0の通話を用途で使い分けていて、トッピングすることなく使い続けています。私はiPhoneユーザですが、どちらの回線を使うか通話相手ごとに選ぶことができるので手間はかかりません。どちらの回線でも、着信はきちんとできます。
「#ギガ活」でさらにお得に
私はメイン回線がドコモで、ギガライトという従量制の料金プランを利用しています。ギガライトは新規受付は停止されていて、いまは「eximo」で申し込むかたちとなります。
データ使用量が増えると月額料金が高くなるため、月額1980円(税抜き)の1GB以内に抑えられるかどうかが肝となります。
そこで登場するのが副回線のpovo2.0です。povo2.0には「#ギガ活」という他社にないサービスがあるのです。
#ギガ活とは、
日常のさまざまなお店やサービスのご利用でギガ (データ) が貯まる、新しいギガチャージ活動です。
とあり、対象のお店で買い物をすると、買い物のたびにデータをもらえるのです。手順は簡単で、回線とau PAYの紐づけを行い、au PAYで支払うだけ。対象のお店で買い物すれば、プロモコードがメールで届いてpovo2.0にチャージできる仕組みです。
対象の店は多数あり、例えば、ローソン、ウェルシア、ドトールだったら、500円(税込)以上の買い物で300MB、かっぱ寿司、OKストア、カインズだったら、2,000円(税込)以上の買い物で1GBーーという具合です。
ちょっと意識するだけで相当のデータ量が貯まります。私はこのおかげで、ドコモの主回線は毎月1GBを超えないで済んでいます。
ということは、毎月のスマホ代は、ドコモの主回線が月額1980円(税抜)で、副回線のpovo2.0は月額料金はかからず、副回線を維持するために一番安いトッピングを半年に一度使うだけーーつまり半年に330円(税込)だけで済む、ということです。
いかがですか? 下手な格安スマホよりも安いと思いませんか?
2つの経済圏でポイ活ができる
加えて、ドコモを主回線で使って副回線でpovo2.0を使うということは、前者でdポイントが貯まり、後者でPontaポイントが貯まることを意味します。
dポイント経済圏とau経済圏の2つでポイ活ができるわけですが、それはまた別の機会にご紹介したいと思います。
(もりこうた)