神舘和典氏の「ジャズ・ジャイアントたちの20代録音「青の時代」の音を聴く」(星海社新書)を紹介する3回目のきょうは、ジャコ・パストリアスとパット・メセニーです(2024.1.25)
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ジャコ・パストリアスについては、神舘氏の著書から紹介するのが早いでしょう。
ウェイン・ショーター(サックス奏者。マイルス・デイビス門下生で、マイルスのアルバム「イン・ア・サイレント・ウェイ」で共演したジョー・ザビヌルと「ウェザー・リポート」を結成)は、神舘氏のインタビューで「すべてのベーシストのなかで一番すぐれていたのはジャコだ」と言い切ったそうです。
「ジャコは常に精神的に不安定で、ウェザー・リポート時代も、僕たちの手に負えない奇行が続いていた。精神異常者のようだった。いつでもどこでも走り回り、自分のことを”世界一のベーシスト”と言っていた。でも、彼の心は繊細で、演奏も繊細だった」
ジャコがウェザー・リポートに在籍したのは1976年から82年まで。
「ジャコが25歳の1977年、ウェザー・リポートの代表作で、発売即50万枚のセールスを上げたバンド最大のヒット作『ヘビー・ウェザー』をリリースする。
「バードランド」「お前のしるし」「ティーン・タウン」「アルルカン」……。『ヘビー・ウェザー』は全8曲、名曲ぞろいのアルバムだ。
サンプル音源は、「ヘビー・ウェザー」から「お前のしるし」、ジャコ在籍時代のライブアルバム「8:30」(1979年)から「バードランド」です。
ジャコ・パストリアスはウェザー・リポートを離れてから奇行が目立つようになり、精神科の病院に入院。退院後はアルコールとドラッグ漬けに。1987年、バーの用心棒と乱闘の末、意識不明のまま入院。脳死状態となり35歳の若さで亡くなっています。
神舘氏は「ウェザー・リポートの黄金期はジャコ・パストリアスの青春期」と書いています。 同感です。
バンドに入れてください
パット・メセニーは18歳のとき、ヴィヴラフォン奏者のゲイリー・バートンに「バンドに入れてください」と直談判したそうです。
「当時のゲイリーのバンドは、僕にとって世界で最高だった。世界中の音楽ファンにとってのビートルズのような存在だった」
「僕は田舎町の狭い地域でギターがうまいと褒められていたにすぎない。オレならできる! と思い込んでいたんだ」
ゲイリー・バートンが偉いのは、パットにギターを弾かせて、バンドに参加させたことです。
サンプル音源は、パットが参加したアルバム「DREAMS SO REAL」(1975年)から表題曲です(ちなみにオリジナルはカーラ・ブレイです)
カーラ・ブレイについてはこちらをごらんください
夜に聞くと心地良いカーラ・ブレイ
郷愁と土の匂い
パット・メセニーの「青の時代」の代表作として、神舘氏は「トラヴェルズ」(1983年)を挙げています。パット・メセニー・グループの1982年に行ったツアーから選曲したライブ盤です。
タイトル曲「トラヴェルズ」やラストの「想い出のサン・ロレンツォ」はとくに郷愁を感じ、パットのギターの持つ素朴さや土の匂いが体験できる。広大なアメリカの大地の景色が脳内に広がる。
クルマを運転しながらこのアルバムを聴きどこまでも続く田舎道を走ると、情緒的な気持ちになる。まるで人生をリアルに旅しているようで、涙腺がゆるむ。
サンプル音源は、「トラヴェルズ」から表題曲と、「想い出のサン・ロレンツォ」(1978年)から表題曲です。
パット・メセニーの他のサンプル音源はこちらで聴いてください
夜に聞くと心地良いジャズ・ギター
神舘和典氏の「ジャズ・ジャイアントたちの20代録音「青の時代」の音を聴く」は、巻末に文中で紹介した曲のプレイリストをサブスクで共有できるようにQRコードをつけています。
ジャズの入門書としても優れています。サンプル音源で気に入ったら、ぜひ手に取ってみてください。
(しみずのぼる)
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