きょうはイギリスの映画『フローズン・タイム』(原題:Cashback)を紹介します。もともとは2006年製作の短編映画でしたが、アカデミー賞の短編部門ノミネートなど好評を得たことから、急きょ7週間で脚本を用意して長編映画化した作品です。失恋から不眠症になった美大生が、アルバイト先で知り合った女性に惹かれ、恋をしていくストーリーです(2023.11.2)
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目次
短編からの進化|アカデミー賞候補作が描く時間の美学
あらすじをDVDの背表紙から紹介しましょう。
ガールフレンドにフラれたショックから不眠症になってしまう画家志望のベン。仕方なく24時間営業のスーパーで深夜のバイトを始めるが、そこはダメな若者たちの吹き溜まりだった。不眠が続いているベンの頭はついに限界を超え、突然、周囲の世界がフリーズしてしまう! 動いているのは自分の時間だけ。時間が止まった世界では彼は、夢中になって美しい女性たちをデッサンする。そしてある日、ふとした瞬間、レジ係のシャロンの横顔に目が離せなくなってしまう…。新たな恋のはじまりは、普段は気づかないほど”一瞬”の間に隠されていた……。
まさにこの紹介文のとおりの内容なのですが、オリジナルの短編映画は、この紹介文の
不眠が続いているベンの頭はついに限界を超え、突然、周囲の世界がフリーズしてしまう! 動いているのは自分の時間だけ。時間が止まった世界では彼は、夢中になって美しい女性たちをデッサンする。
の部分です。
静止した裸体美|美大生ベンが追求する究極のデッサン
不眠症となった最初の恋人との破局はまったく新しく撮影された部分ですし、同僚のシャロンに恋心を抱いて、ふたりが接近していく部分も同様です。新たに7週間で脚本を書いて、同じ役者たちを起用(最初の恋人役は長編化のため新たに配役)して、短編の前後を補って長編化したわけです。
オリジナルの短編は(監督のショーン・エリスが写真家だということもあるのでしょうが)女性の裸体の美しさを徹底して追求することに力点を置いています。
男の子なら誰しも…と思う少年期特有の異性への興味。女性のからだの曲線美への執着。それが美大生のベンが不眠症によって得た「静止した瞬間」(A Frozen Second)によって、デッサンという形で具現化されていきます。
そのため、女性が見たら不快に思うかもしれませんが、映画では繰り返し女性の裸体の美しさが強調されます(DVDのパッケージのような裸体美です)
でも、そこに忌避感情を抱いてしまうと、この映画のもうひとつのよさーー失恋から立ち直り、新しい恋がはじまるーーが見落とされてしまい、もったいない気がするのです。
愛を掴みとる瞬間|動き出した鼓動と不器用な恋の結末
同僚シャロンの横顔の美しさに気づき、「静止した瞬間」に何度も近づいてデッサンを繰り返すベン。そして現実の日常の中でも、一緒に食事をし、お互いの夢を語り、アパートメントまで送っていき…と徐々に近づいていく。
そんなベンとシャロンの関係が、ある誤解から、突然途絶えてしまいます。
繰り返しデッサンし、絵の形で表現してきたベンの愛…。ふたりは再び恋の時間を動かすことができるでしょうか。
愛とはなにか知りたかった
今 愛はここにある
その美しい姿は一瞬の中に息づく
立ちどまってつかみとろう
とても美しく、好きな恋愛映画です。
音楽も注目!元恋人を想って不眠の日々を過ごす曲に惹かれる
なお『フローズン・タイム』は音楽も優れています。音楽を担当したのはガイ・ファーレイ。いい曲が揃っていますが、わたしが特に好きな曲は「Suzy」です。
最初の恋人スージーとの破局を後悔し、スージーと過ごした日々を思い出しながら眠れぬ夜を過ごす場面で流れる曲です。 気に入ったらサントラも探してみてください。
(しみずのぼる)
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