きのうの記事(楽天マガジンで「ポイ活で得する!楽天生活」を読む)で楽天カード・楽天銀行・楽天証券は「楽天経済圏の”三種の神器”だ」と書いたところ、知人から「なぜ? もうすこし理由をくわしく」と聞かれました。「経済圏」争いの基礎となる話なので、わかりやすく解説しましょう(2023.10.22)
【追記】楽天が11月1日、SPUの大幅変更を発表しました。本文中にもかかわる変更が含まれていますので、最新情報はこちらも併せてお読みください(2023/11/1)
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楽天カードの魅力
きのうの記事(楽天マガジンで「ポイ活で得する!楽天生活」を読む)を改めて紹介します。
ヘビーユーザー3人をみても、7倍の丸山さんと12倍のよこっぴさん、10倍のくぅちゃんの違いは
- 楽天銀行+楽天カード……+1倍
- 楽天証券投資信託……+0・5倍
の部分です。わたしに感化された娘(こないだまで大学生)は「楽天銀行と楽天証券と楽天カードは”三種の神器”よね」と言っていました。
この部分です。ひとつひとつ解き明かしてみましょう。
楽天経済圏をまだ利用していない人で、いちばん敷居が低いサービスはおそらく楽天カードでしょう。
楽天カードマンのテレビCMはほんとうによく目にしますね。でも、年会費が永年無料というのも、「100円で1ポイント貯まる」というのも、熾烈なクレカ競争のなかで、かなりスタンダードになりつつあるように思います(裏を返せば、年会費がかかるものや、ポイント付与率が0・5%のクレカは劣後しているのでお勧めしません)
では、楽天カードは何が優れているかと言えば、クレカ単体ではなく、他の楽天サービスと組み合わせることで大きなメリットが生まれるのです。
いちばん手っ取り早いのが、ネットショッピングです。アマゾンと楽天市場は日本国内では2強と言ってよい存在です。2強のひとつである楽天市場で買い物する際、楽天カードを引き落とし先に設定すれば、ポイント付与率が向上します。
これが楽天独特のSPU(スーパーポイントアッププログラム)という仕組みで、楽天の各サービスを利用するごとにポイント付与率が向上します。
SPUによって楽天カードそのもののポイント付与率(1倍)が3倍になった計算です。楽天市場での買い物は楽天会員になる必要がありますが、楽天会員はSPUでポイント付与率が+1倍なので、合計すれば4倍です。
ほかにも年会費無料・ポイント付与率1%のクレカは数多くあります。でも、楽天市場というネットショッピングでの買い物では、ポイント付与率が4%の楽天カードにはかないません。

楽天SPUについてはこちらを参照してください
楽天銀行の魅力
次に使いやすいのが楽天銀行です。銀行口座を持っていない人はいないでしょう。かつては3大メガバンクのような市中の銀行に普通預金の口座を開くのが当たり前でしたが、インターネット銀行の隆盛により、ネット銀行の利用者はうなぎのぼりです。
ダイヤモンド・オンラインが「2023年版 ネット銀行の人気ランキング」を発表しています(「ネット銀行おすすめ人気ランキング!【2023年版】」)
この1年間(2022年7月1日~2023年6月30日)にザイ・オンラインを通して行われた「ネット銀行の口座開設申し込み数」をすべて集計してランキングを作成したもので、順位は
- 楽天銀行
- SBI新生銀行
- 商工中金
- UI銀行
- ソニー銀行
- オリックス銀行
- 東京スター銀行
- イオン銀行
でした。預金残高トップは住信SBIネット銀行なので、あくまでザイ・オンラインに限った申し込み数ではありますが、それでも楽天銀行が有力ネット銀行であるのは確かでしょう。
楽天銀行には「ハッピープログラム」というものがあり、預金残高が100万円以上なら「VIP」ランキングとなるので、セブン銀行などのATMでの利用が月5回まで無料となり、他行振込も月3回無料になります。加えて、振込の件数やATMの入出金のたびに3ポイントずつ付与されます。


SPUも楽天銀行と楽天カードを連携させると、ポイント付与率が+1倍アップします。
楽天証券の魅力
楽天銀行は、楽天証券との口座連携サービス「マネーブリッジ」の設定をすると、普通預金の金利が0・1%になります(預金残高が300万円まで。300万円超は0・04%)。普通預金の金利は0.001%ですから、100倍の金利です。

そして、楽天証券で積立投資信託を行う際に引き落とし先を楽天カードに設定すれば、それでまたポイントが0・5%付与されますし、マネーブリッジの設定+月3万円以上の投資信託の購入で、SPUが+0・5倍アップします

クレカ積立は「積立投資信託の「クレカ積立」はどこがオススメ?」を参照してください。
クレカで発行枚数トップは楽天カードです。ネット銀行でランキングトップの楽天銀行。ネット証券でSBI証券と並んで2強の座にある楽天証券。この3つのサービスをそれぞれ組み合わせると、大きな効果を発揮することがわかっていただけたでしょうか。
セール利用でSPUが格段アップ
楽天カード、楽天銀行、楽天証券(クレカ積立)を使えば、SPUはそれだけで4・5倍になります。
- 楽天会員 1倍
- 楽天カード通常分 +1倍
- 楽天カード特典分 +1倍
- 楽天銀行+楽天カード +1倍
- 楽天証券投資信託 +0・5倍
楽天市場で1万円の買い物をしたとしましょう。楽天カードのポイント付与率は1%ですから、100ポイントですが、SPUが4・5倍ですので、さらに450ポイントつきます。
では、「お買い物マラソン」の最中で「5と0のつく日」を選んで、1000円の買い物を10か所のショップで買ったとします。
「5と0のつく日」でポイントが1倍アップし、10ショップで買い物すると(+9ショップというカウントで)9倍になるので、SPUは14・5倍(4・5+1+9)です。楽天カードの利用で100ポイントのほかに、SPUで1450ポイントつきます(お買い物マラソン/楽天スーパーDEALはこちらをご覧ください)
楽天市場でポイントは使わない
この時に気をつけたいのが、楽天市場の買い物ではポイントは極力使わないことです。
ポイントやクーポンの使用分はポイント付与の対象にカウントされないため、仮に1万円の買い物でポイントを5000ポイント使うと、買い物は5000円で計算されますから、楽天カードの利用で50ポイント、SPUで725ポイントーーつまり、本来得られるべき775円分のポイントを失ってしまうのです。
きのうの記事で
ーー貯まったポイントを使うのも、やはり楽天市場でですか?
いえ、楽天市場で使うと買い物のポイント付与数が落ちてしまうので、あまり使っていません。どちらかというと楽天市場ではポイントを貯めるのがメインです。(略)ポイントは楽天ペイを通して街で利用したり、楽天モバイルの支払いに使ったりが多いです(よこっぴさん)
と言っているのはこのことです。
楽天ペイは期間限定ポイントから使ってくれるので、街中で利用すれば着実に期間限定ポイントを消費してくれます。 ほかに楽天モバイル、楽天でんき、楽天ガスなどの利用も、期間限定ポイントから使ってくれます。

楽天ポイント(期間限定ポイント/通常ポイント)の使い方は「ポイント投資はノーリスク・ハイリターン」を参照してください。
さて、いかがでしたでしょうか。なぜ、楽天カード/銀行/証券が「三種の神器」と言われるのか、おわかりいただけたでしょう。
最後に、熾烈さが増す「経済圏争い」について私見を述べます。
5つの主要経済圏
経済圏で有力なのは次の5つだろうと思います。
- 楽天経済圏
- dポイント経済圏
- au経済圏
- Vポイント経済圏
- PayPay経済圏
それぞれグループ内のサービスを連携させて競っているので、ユーザーはその競争の成り行きをみながら、いちばんお得なサービスを選択すればよいと思います。
ただ、グループ内のサービスはまだデコボコがあるのが現状です。きょう時点で整理すると次のようになります。

こうやって眺めてみれば、それぞれの経済圏の強みや弱みが見えてきます。
それぞれの強みと弱み
dポイント経済圏は、ドコモが今回マネックス証券を子会社化したのは、自分たちの弱点を補うための重要な布石でしょう。
でも、まだ銀行に”穴”があるので、ネット銀行でどこか有望なところと連携するのか、それともマネックス証券のようにどこかをグループの傘下にするのか、今後の動向が注目です。
au経済圏はすべてそろえているのが特徴です。貯まるポイントもPontaなので汎用性は申し分ありません。
でも、これはauが主導するから当然と言えば当然ですが、スマホがauユーザーであれば効果が最大限発揮されますが、ほかのモバイル利用者にとってメリットが見えません。
Vポイント経済圏は、三井住友銀行がネット証券最大手のSBI証券と組み、カード・銀行・証券の連携では楽天と互角の使い勝手の良さだと思います。連携サービスにまったく遜色ないと、利用していて思います。
ただ、以前の記事にも書きましたが、楽天市場や楽天ふるさと納税のようなポイントを貯める場がないことや、楽天のSPUに相当するものがないことが今後の課題だろうと思います。
PayPay経済圏は、何と言ってもキャッシュレス決済で圧倒的な地歩を固めたので、ここから組み立てていくところです。
auのようにスマホバンクユーザーの囲い込みはすぐにできそうですが、やはり楽天経済圏やVポイント経済圏と互角に戦おうとするなら、銀行や証券はまだまだ力不足です。ヤフーショッピングも、楽天市場やアマゾンとはまだ肩を並べるまでに至っていません。
囲い込み型か、汎用型か
それぞれの経済圏を比較すると、ふたつの方向性が見えてきます。
ひとつは囲い込み型で、典型はau経済圏です。auユーザーはau経済圏を最大限利用することが正しい選択ですが、ほかのユーザーを取り込めるだけの経済圏ではありません。
もうひとつは汎用型で、SPUの仕組みが優れている楽天経済圏が代表格です。
ドコモユーザーでも、auユーザーでも、ソフトバンクユーザーでも、楽天カード/銀行/証券の利用者なら、楽天市場での買い物はつねに+4・5倍のポイントが付与され、お買い物マラソンや「5と0のつく日」に買い物すれば、15倍前後のポイント付与率になります。そういう意味で誰にでも開かれた経済圏です。
ほかの経済圏はどちらを志向するのでしょうか。
Vポイント経済圏はスマホの制約がないので汎用型を目指すでしょうが、dポイント経済圏とPayPay経済圏はどちらを志向するか、今後の出方を注目したいと思います。
いずれにしても、楽天モバイルユーザー以外もメリットを十分享受できる楽天カード/銀行/証券の組み合わせは最強ーーというのが私の意見です。
24年1月スタートの新NISAを始める際に「SBI証券か、楽天証券か」と迷っている方なら、自分に合った経済圏はどちらだろうか……を考えて選択するとよいでしょう。

証券会社の選び方では「証券口座なら「楽天」「SBI」の2択」も参照してください
(いしばしわたる)
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