きょうは夭折の天才シンガー、エヴァ・キャシディ(Eva Cassidy)のアルバム『Live at Blues Alley』を取り上げます。33歳という若さで亡くなった彼女が、亡くなる10か月前にワシントンDCのジャズクラブ「ブルース・アレイ」で演奏した楽曲を収録。原曲よりも美しいカバー曲が多く、特に両親の前で歌い上げた「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)は震えるほど感動する歌声です。(2023.8.8)
エヴァ・キャシディの『Live at Blues Alley』は、1996年1月2日と3日の演奏の一部を1枚のアルバムにしたものです。
『Live at Blues Alley』
1曲のみスタジオ収録で、ライブ演奏は
Cheek to Cheek
Stormy Monday
Bridge Over Troubled Water
Fine and Mellow
People Get Ready
Blue Skies
Tall Trees in Georgia
Fields of Gold
Autumn Leaves
Honeysuckle Rose
Take Me to the River
What a Wonderful World
の12曲となります。「枯葉」(Autumn Leaves )や「Fine and Mellow」のようなジャズの名曲に混ざって、サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」(Bridge Over Troubled Water )といったポップスナンバーも歌っています。中でもスティングの「Fields of Gold」は、オリジナルを超える美しさ。ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World)も、数あるカバー曲でも屈指の出来です。
両親は客席の両親へ向けられた感謝のメッセージ
「この素晴らしき世界」を歌い始める前に、時間にして10秒あまりのエヴァの「語り」があります(Take Me to the Riverの3分56秒から)
自分のリスニング能力の低さから間違っていたら許してほしいのですが、このように聞こえます。
How about … dedicate to this song … to Mam and Dad. They’re here the night.
(この曲をお母さんとお父さんに捧げます。両親はきょうここに来ているのよ)
父親の言葉から生まれた奇蹟の名演
エヴァがMam and Dadという時のはにかんだ声のトーン。そして、一気にThey’re here the night.と続けると、客席から拍手と囃す声。お客のひとりがMam and Dad!と、おそらくはエヴァのご両親のほうに向かって声をかけています。そのあと、エヴァが早口で、
Dad told me had played a guitar. (とうさんがギターを弾くように言ったのよ)
こう言って「この素晴らしき世界」のイントロをギターで弾き始めます。
YouTubeのEva Cassidy公式チャンネルから Eva Cassidy – What A Wonderful World
演奏が終わると、
Thank you so much for coming. You’ve been really wonderful. Thank you.
「スイングしなけりゃ意味ないね」(It Don’t Mean a Thing (If It Ain’t Got That Swing))のようなジャズのスタンダードナンバーも含まれていますし、シンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」(Time After Time)や、「虹の彼方に」(Over the Rainbow)などのポップスナンバーも含まれています。
YouTubeのEva Cassidy公式チャンネルから「Time After Time」
でも、個人的には男性MCの紹介と拍手で始まる「Cheek to Cheek」が1曲目で、「この素晴らしき世界」の前に語りが入る「Live at Blues Alley」のほうを推したいと思います。ちょうど25周年記念でデジタル・リマスター版(アルバムジャケットがカラー)が出ています。
ベスト盤で聴き比べるスタジオ収録の音源
エヴァ・キャシディは多くのカバー曲を残しています。わたしが持っているベスト盤『Rainbow : Best of Eva Cassidy』には、「Fields of Gold」や「この素晴らしき世界」のスタジオ収録版も入っています。