暑い日が続きますね。冷たい飲み物がどうしても欲しくなりますし、飲まないと熱中症になりかねません。ぜひ飲んだほうがよいのですが、その時、皆さんは何を飲まれますか? きょうは清涼飲料水のお話です(2023.8.2)
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不調の原因の9割は血糖値
まず、基本的な知識として「糖分の摂り過ぎは健康を害する」というのは、もはや常識です。
牧田善二氏の「医者が教える食事術」(ダイヤモンド社)は「不調の原因の9割は血糖値」と書いています。
「血糖値」という言葉は、あなたもすでにご存じでしょう。会社の健康診断でも、「空腹時血糖」や、ここ1~2か月の血糖値の推移を見る「ヘモグロビンA1c値」が調べられているはずです。これらの数値が高ければ糖尿病が疑われます。
この血糖値、糖尿病に限らず、あなたの健康状態のすべてを決めると言っても過言ではないのです。
第一に、「血糖値が高い状態が肥満をつくる」という事実があります。
(略)
血糖値が高いことで免疫力が落ち、さらには「AGE」という悪玉物質が体の中でつくられ老化が進みます。血糖値が高ければ、血管も内臓も、皮膚などの外見もぼろぼろになってしまうのです。

ああ、糖分は控えめにすればいいのね。そう、その通りなのですが、隠れ糖分が多いのが清涼飲料水なのです。
500ml缶で角砂糖14個分
「医者が教える食事術」は、「人気の清涼飲料水の糖質量」の表を載せています。

自動販売機で売っているロング缶(500ml)に角砂糖がどれだけ入っているでしょうか。ファンタ・オレンジが14・3個、コカ・コーラが14・1個、カルピスウォーターが13・7個…..。
コーヒーや紅茶を飲む時、角砂糖をいくつ入れますか? 多くてもせいぜい2個どまりではありませんか? それが14個も入れたらと思えば、どれほどの糖分を体内に入れることになるか、恐ろしくなりませんか。
健康飲料にも隠れ糖分が
表をよくみてください。いわゆる健康飲料も含まれています。 「野菜生活」など、いかにも健康に良さそうな飲み物に角砂糖3個以上の糖分が入っていると思うと、ぞっとしませんか。
本来、健康な人間の体内には約4・5リットルの血液があり、その中のブドウ糖濃度(血糖値)は空腹時90mg/dlです。つまり、血液中には4グラム前後のブドウ糖が存在します。それだけあれば十分だから、この数値なのです。
では、4グラムでいいところに、コーヒー飲料などを飲んで、いきなり大量の砂糖がドバーッと入ってきたらどうでしょう。人間の体がまったく想定していなかった、ばかげた事態が起きるのです。
「食の安全」のバイブル
清涼飲料水については、安部司氏の「食品の裏側」(東洋経済新報社)を読んだ時も驚きました。
「食品の裏側」の著者は、ある食品添加物の専門商社に勤めていた方で、営業成績も抜群だったそうです。
でも、家庭を持ち、子どもも生まれて、ご自身の長女の3回目の誕生日の時、食卓にミートボールの皿があって驚愕したそうです。ご自身が「開発」したミートボールだったからです。
「このミートボール、安いし、〇〇(娘の名前)が好きだからよく買うのよ。これを出すと子どもたち、取り合いになるのよ」
見れば娘も息子たちも、実においしそうにそのミートボールを頬張っています。
「ちょ、ちょ、ちょっと、待て待て!」

それは「本来なら産業廃棄物となるべきクズ肉を、添加物を大量に投入して「食品」に仕立て上げた」ミートボールだったのです。
これがきっかけで会社を辞め、食品添加物の危うさを指摘する側に回ったという経歴の持ち主なのですが、「食品の裏側」には、清涼飲料水のことも出てきます。
清涼飲料水のマジック
幼稚園や保育園に依頼されて講演する時に著者が行っている実演コーナーから引用しましょう。
「はい、これから先生が無果汁のレモンジュースをつくりますよ」
(略)
「あと、レモンの香りをつけなくちゃね」
レモン香料を入れるのも忘れません。
最後に粉末セルロースを入れます。セルロースは、「おがくず」からつくられる添加物。色を少し濁らせることで、本物の果汁ジュースらしい雰囲気を出すのです。
「この粉はおがくずからつくるんだよ」
そう説明すると子どもたちは「えーっ」と驚いています。
「次はメロンジュースだよ」
メロンは緑色なので、2つの色を混ぜ合わせてつくります。お絵かきの絵の具と同じです。水に先に青色(1号)の着色料を入れて、真っ青に染める。次に黄色(4号)を入れると、真緑に変わる。「うお!」というどよめきが起こります。
「この色はね、全部石油からつくってるんだよ」
「えーっ」
「じゃあね、オレンジジュースもつくってみようか。この色はね、虫をすりつぶしてつくるんだよ」
「虫!? いやだぁー」の声。
水はたちまちきれいなオレンジ色に染まります。
次々と粉を投入し、完成したジュースを紙コップに注ぎ、「飲んでみる?」と訊くと、子どもたちはシーン。顔を見合わせるばかりです。
「誰も飲みたくないか。でもね、いま先生がつくったジュースはね、いつもみんなが飲んでいるこのジュースと同じなんだよ」
そう言って、某大手メーカーのジュースやアミノ酸飲料などを取り出して見せると、またまた「うおー」とどよめきの声。
「ここに並べたジュースを飲んだことある人?」
と訊くと、ほぼ全員が「はーい!」と手を挙げる。後ろでお母さんたちは恥ずかしそうに目をそらしています。
いかがですか。これを読んでもまだ清涼飲料水が飲みたいですか?
角砂糖14個の秘密
先ほどの「角砂糖14個の秘密」ーーそんな甘いものを、どうして「おいしい」と思って飲めてしまうのだろう?ーーも出てきます。
「次はお母さんたち、よく見てください」
今度はお母さんたちに呼びかけます。
「この色水は甘みをつけています。こう言ったジュースには少し前までは、砂糖で甘みをつけていたんですが、砂糖の甘味は重いから、子どもたちは嫌うんです。だからいまは『ブドウ糖果糖液糖』というのを使うようになってきています。これはさわやかな甘みだから子どもたちの好みなんです。でも、これを見てください。これだけの量を入れるんですよ」
そう言って先につくった緑水のコップの1割以上に、「ブドウ糖果糖液糖」を注ぐと、「えっ、そんなに?」という声が上がります。
これをひとりのお母さんに飲んでもらうと、「甘くてとても飲めない」という。
しかし、このシロップ液に、「酸味料」を3種類ほどと「レモン香料」を投入、再び同じお母さんに飲んでもらうと、「あっ、これなら飲めます。おいしい」と驚きの声。
ただのシロップ水のときには飲めないぐらいに糖分が入っているのに、「酸味料」と「香料」でごまかされると、おいしく飲めてしまうのです。
このあとブドウ糖果糖液糖は血糖値を急激に上げてしまうことも書いてあるのですが、ここまで読めば、もう清涼飲料水に手を出したくなくなるでしょう(それでも飲みたい欲求にかられる人は、すでに依存症かもしれません)
暑い日がつづきます。でも、できれば水分の摂取はお水かお茶にしましょう。
(さかきかずひこ)