前回記事でポイント投資はノーリスク・ハイリターンと書きましたが、これは「ポイントという”おまけ”で得たものを投資に活用する」という意味で、本来、リスクがなくリターンが大きい金融商品はありません。資産運用するにあたって大切なのは、自分自身のリスク許容度を知ることです(2023.7.27)
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積立投信と国内株の現物取引だけ
わたし自身は「石橋を叩いて渡る」臆病な性格から、ハイリスク・ハイリターンの金融商品にはまったく手を出していません。現在の資産運用の方法は、積立投資信託と、配当利回りが高いか株主優待が魅力的な国内株の現物取引だけです。
当サイトは初心者向けの情報発信が目的ですから、今後も仮想通貨(暗号資産)やFXを取り上げるつもりはありません。

頼藤太希氏と高山一恵氏の「1日1分読むだけで身につくお金大全100」(自由国民社)は、リスクとリターンについてこう書いています。
リスクと上手につきあう
投資の世界の「リスク」には、「危険性」ではなく、「投資の結果(リターン)のブレ幅」という意味があります。
(略)
銀行の預金にはリスクはほとんどありませんので減りませんが、同時に大きく増えることもありません。お金を増やしたければ、リスクと上手に付き合っていく必要があるのです。
この図のとおり、投資信託は組み入れる資産によってリスクが変動します。
具体的に、以前の記事(投資商品は利回りと手数料に着目しよう)で紹介した投資信託商品を例に説明しましょう。
例えば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」のような株式だけの投資信託に対して、債券や不動産(REIT=不動産投資信託)も組み入れた「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」のようなバランス型の投資信託のほうが利回りは低くなりますが、その代わり変動の幅は小さくなります。
「お金大全100」はこうも書いています。
金融商品を選び、資産配分を決めるときには、自分のリスク許容度を知ることが大切です。リスク許容度とは、どのくらいまで損しても大丈夫かをはかる指標のようなものです。
前回記事で紹介したポイント投資をあてはめて考えてみましょう。月換算で1万ポイント超という”おまけ”で得たポイントが原資ですから、ある意味、すべて失っても懐(ふところ)と心の痛みは小さいでしょう。
だったら、投資信託のスポット購入でなく、暗号資産の購入原資にしてみようかな、というのは「あり」だと思います。すべて失っても、まだ許容できる範囲でしょうから。

汗水垂らして得たお金なら?
でも、汗水垂らして働いて得た給与だったらどうでしょう。
奥さんから「あなたのお小遣いは月3万円ね。その中でやりくりしてね」と言われたりしていたら、お小遣いから1万円を使って資産運用するとして、「すべて失っても、まだ許容できる範囲」でしょうか。いやいや、ここは安全に投資信託のスポット購入どまりにしておこう、と思うのではないでしょうか。
ましてや、自己資金以上の損失を被るリスクのある信用取引なんて、もってのほかです。
この感覚を知ることが、何よりいちばん大切なのです。
こればかりは他人の意見に左右されずに、自分の懐と心に問いかけ、自分自身の許容レベルを見つけるしかありません。
過去3年分の業績は必ずチェック
わたしは国内株の購入を検討する際、最初に考えるのは、その企業が倒産することはないだろうか、ということです。倒産すれば全額失うわけですから当然ですね。最低限、過去3年分の業績は必ずチェックします。
時価総額もチェックします。時価総額が高い企業ほど、倒産リスクは軽減されるからです(それでも東京電力や日本航空の例もあります。世の中に「絶対」はありません)
次に、株価が大きく下がるとしたら、どの程度下がるだろうかを考えます。過去1年のチャート図をみて、最安値と最高値をチェックします。
いまの株価が最安値まで下がった時、どのぐらいの損失になるだろうか考え、それが自分の許容範囲なら購入しますし、そうでなければ様子見します(ですから、どんなに優良な企業でも、いまの株価が最高値に近ければ、様子見するケースがほとんどです)
自分の懐と心に問いかけよう
「お金大全100」はこう書いています。
「リスク許容度は、収入・資産・年齢・投資経験・リスクに対する気持ちなどによって変わるため、人によって異なります。
(略)
リスク許容度は高いからいい、低いから悪いというものではありません。あくまで、自分のリスク許容度を知ること、そしてそのリスク許容度に合わせた投資先・資産配分を選ぶことが大切なのです。
わたしもまったく同感です。自分はどこまでリスクを許容できそうか、自身の懐と心に問いかけてみてください。
(いしばしわたる)