儲け話は危うい!「ポンジ・スキーム」と年利の常識

儲け話は危うい!「ポンジ・スキーム」と年利の常識

前回記事で「投資商品は利回りと手数料に着目しよう」と書きました。利回りはなるべく高く、手数料はなるべく安く、が基本なのですが、利回りはいくらぐらいが適正なのかがわからないと、高利回りをうたった悪質商品をつかまされたり、もっとひどいケースでは投資詐欺に遭ったりします(2023.7.13)

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ポンジ・スキームとは

怪しげな高利回りの商品を友人から勧められたら、というケースが、前回記事でも紹介した「両@リベ大学長」さんの「お金の大学」(朝日新聞出版)に出てきます。 

まずは目安として世界中の株全てに投資した場合の平均利回りを紹介するで。「年5~7%」と言われとる。100万円投資したら、1年で105万~107万円になる、ってことやな。 

(略) 

じゃあ、さっきの僕が買おうとした月利50%の商品って、、、。 

10000000000000000%詐欺やな。目安としてはさっき紹介した年利5~7%と比べてみるとええで。おそらく君が投資しようとした商品は有名な「ポンジ・スキーム」という手法の詐欺やな。

ポンジ・スキームとは、100年以上前に実在した詐欺師チャールズ・ポンジの名前が由来です。一般社団法人金融リテラシー協会のホームページでも紹介しています。 

「出資を募り、運用益を配当金として支払う」と言って資金を集め、実際の運用はなく、新しい出資者からの出資金を配当金として支払いながら、破綻することを前提にお金を騙し取る手法です。 

ここ数年では、暗号通貨で同様の手口で詐欺をはたらく者が目立ちます。 

「お金、暗号通貨、物品」であれ、品を変えても詐欺の手法は似たようなものです。 

ご自身に届いた投資の手法がポンジ・スキームに似ていれば、詐欺である可能性が高いと理解するべきです。

https://fliteracy.jp/column-10.htm

SNSや友人介した儲け話は危険

最近はSNSを通じて勧誘されるケースが多いようです。2020年には、SNSで「投資に興味がある」と答えたことがきっかけで投資詐欺に遭い、自殺した大学生のニュースがありました(例えば、NHK事件記者取材ノート「そして娘は命を絶った ~“暗号資産”めぐる事件の果てに」) 

騙された人がこんなにいる!

神樹兵輔氏の「眠れなくなるほど面白い経済とお金の話」(日本文芸社)は、「騙された人がこんなにいる!」と題して投資詐欺の事例を一覧にしています(事件のあった年と事件名の後の数字は被害人数、被害金額です) 

  • 2007年 平成電電 1万9000人 490億円 
  • 2007年 近未来通信 3000人 400億円 
  • 2008年 ワールドオーシャンファーム 3万5000人 849億円 
  • 2009年 L&G 3万1000人 540億円 
  • 2011年 夢大陸 400人 67億円 
  • 2011年 安愚楽牧場 7万3000人 4200億円 
  • 2017年 ジャパンライフ 1万人 2100億円 

同書はこう書いています。

販売手数料で2~3%、信託報酬料で毎年1・5%取られると、1000万円投じても、瞬くうちに40~50万円も掠め取られます。2018年3月時点の金融庁調査でも、銀行の窓販で投信を買った客の46%が含み損を抱えさせられているのです。銀行や証券会社の社員は、客の資産を増やすより、目先の手数料収入や自分のノルマ達成のほうが大事ですから当然でしょう。 

(略)

そんな状況ゆえに、「あなただけに特別に教えます」とか、「3年で投資したお金が2倍になる儲け話があります」などと近寄ってくる赤の他人にも騙されます。巧妙にリターンを偽装して、「こんなに多くの人が儲かっている」などと説明されて信用し、虎の子を巻き上げられている人達が、毎年数万人単位で存在するのです。

ここでも前回記事(投資商品は利回りと手数料に着目しよう)で書いた手数料の話が出てきましたね。特に資産運用の初心者の場合は、営業トークに惑わされないで済むネット証券がおすすめということです。 

何冊か読むだけで詐欺は防げる

そもそも、自分自身で何冊か本を読むだけでも、適正な利回りの水準はつかめるはずです。

初心者向けの本は、ほぼ100%と言っていいぐらい、以前の記事(「ほったらかし投資」をご存じですか)で紹介した「長期」「積立」「分散」の3原則による資産運用をすすめています。 

とはいえ、適正な利回りの水準をつかむのは、正直難しいです。「お金の大学」は年利5~7%と書いてありますが、最近の世界経済は減速傾向にありますから、もうすこし低いような気がします。 

世銀予測によると、2023年の世界経済成長率は2・1%です。世界経済を牽引するグローバル企業が集中する米国経済が減速トレンドにあるため、かなり低い数字です。ただ、日本の国内株の配当利回りは、業績が好調な企業で3~4%台のところが目立ちます。 

年利2~5%が順当

そう考えると、現在の利回り(年利)は2~5%のレンジぐらいが順当だろうと思っていれば、怪しげな詐欺話に引っ掛からないで済むのではないでしょうか。 

年利2~5%でも、以前の記事(ラテマネーを運用すればいくらになるか)で書いたとおり、長期に積み立てれば複利効果が効いてきます。 

地道にコツコツと。これに勝るものはありません。

(いしばしわたる)